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2009年11月11日 (水)

業務処理のタイミング論

 先に書いておきますが、今日は(今日も)面倒な話です。興味のない方は「またこんな事書きやがって」と思って、読み流してください。あー、明日ぐらいに旅の予定でも書きますんで。はい。

 リアルタイム処理とバッチ処理。なんか、昔、情報処理技術者の試験勉強をしていたときに、割と最初の方に出てきた話です。

 かいつまんで書くと、というか、やっぱりここだけは他の人の表現を借りますが、バッチ処理とは「データを一定期間あるいは一定量をまとめてから、一括して処理を行う方式」という説明があるように、昔のホストコンピュータなんてそういう処理が多かったです。リアルタイム処理というのが「データが発生するごとに順次、データをホストに送り、処理を行う方法」という説明がされています。

 と、ここで、別にコンピュータの処理の話をしたいのではなく、やっぱり経理の話をしたいわけです。

 この「バッチ処理」と「リアルタイム処理」、通常の業務にもその使い分けをしっかり意識しなさいというのはどこかのビジネス書に書かれていました。多分、立ち読みで読んだと思うんで、どの本とは書けないんですけど、多分、複数の本でそういうことを言っていると思います。

 確かに、経理に限らず、どの仕事でも、仕事が来たらすぐにその場で処理をして返さなければならない仕事(リアルタイム処理)と、そんなもん、いちいちその都度やっていたら手間なだけで、ある程度まとまったところで一気にやる方がいい、という仕事(バッチ処理)があるわけです。

 例えば、受付とか、銀行の窓口とか、お客さんが目の前にいるのに、お客さんが10人溜まったら、順番に話を聞きますので、それまでちょっと待っていてください(バッチ処理)、なんてやるわけでなく、お客さんが依頼してきたことをその場でこなして、返すわけです(リアルタイム処理)。もちろん、順番がついていたら待たせるわけですが、ガラガラの場合はすぐにこなして返すことになります。

 これに対して、例えば投票所へ行きました。1票入るごとにどこかに「正」の字を書いて、最後、20時になって、最後の人が投票したら、ほら、もう結果が出ている(リアルタイム処理)、ということをやるのではなく、20時まではとにかく投票させて、投票用紙を集めておくことに専念して、20時になって投票箱をあるところに集めて、一斉に集計作業を開始する(バッチ処理)わけです。

 このように、業務によって、リアルタイム処理とバッチ処理は使い分けられているわけで、その言葉は知らなくても、ある程度、無意識のうちにリアルタイム処理とバッチ処理は行われているわけです。

 もちろん、バッチ処理もどの程度まとめるかは千差万別で、例えば掃除なんかは、汚れたらすぐにやるか(リアルタイム処理)、あるいは1日1回とか、1週間に1回とか、月1回とか、年末だけとかのバッチ処理を行っているわけです。どの頻度でバッチ処理を行うかも、その内容と可能かどうか、あるいは優先順によって使い分けられているのです。

 このように、日常生活から家事、もちろん仕事に至るまでこのバッチ処理とリアルタイム処理は無意識のうちに、あるいは意識して使い分けられているのです。

 というところまでが一般論。

 それで、経理の仕事でも、もちろん、リアルタイム処理とバッチ処理は使い分けられています。

 例えば、現金の出入りの数がさほどない企業で、現金は経理担当者を通して出納を行い、おつりは経理担当者が出す、というふうにしている場合、もちろんこれはリアルタイム処理になります。

 あとは銀行の人が来たから対応しようとか、そのへんもリアルタイム処理かな・・・。ただ、他の業種に比べて、バッチ処理の方が圧倒的に多い業種だと思います。

 これが、会計事務所(税理士事務所)になると、バッチ処理がほとんどで、顧客との対話とか、税務署との対話、あるいは電話対応以外はほとんどバッチ処理の塊になるような気がします。

 さて、経理の仕事のほとんどがバッチ処理だとしても、例えば、一般的な業界で、中には請求書が来たらすぐに払ってしまう、というところもあるらしく、支払業務までリアルタイム処理にしていることもあるようです。ある本にはまずそういうところから改善しなさいと書いてありまして、経理業務の合理化、あるいは資金のために支払日を決めて、その日以外は支払わないようにする、ということが書かれています。

 というように、経理業務は極力バッチ処理をすることが、業務の合理化の基本であるとされています。

 さてさて。確かにそうですね、バンザイ・・・、で終わらせるような私ではないと思われる方も多いと思いますが、はい。そうです。

 もちろん、経理の業務はいかにリアルタイム処理を減らしてバッチ処理にするかというところから業務の改善があるわけで、支払業務にしても基本は月1回の支払日の支払。売上請求書も(作成者が経理担当者なら。そのへんの話はこの前書いた通り。)月1回〆日に締めて、請求書を出す、月次決算、年次決算も1ヶ月間、あるいは1年間の流れをその都度毎日押さえるのではなく、月単位、年単位で締めて結果を見る・・・。

 というように、基本的に経理の業務はどこかで「締めて」、それ以降の動きは次の「締め」での処理ということにして、とにかく締めたところまでで仕事をしよう、という思想が働いています。

 これが、会計事務所になるとさらにこの傾向が顕著で、例えば10月分の試算表を作成しよう、ということで顧客のところを訪問します。これが、顧客の側の資料が出そろって、会計事務所側もその月に処理すべき決算が終わって、だいたい11月の半ばから終わりになります。

 そこでやるのが10月分の処理。つまり、月が終わって次の月になって、半月なり、やがて1ヶ月経ちますが、そこでいう11月の内容には目もくれず、10月31日までの流れを押さえる仕事だけをするのが基本です。

 もちろん、10月分の流れを見るために、11月に実際に支払ったものを見るというテクニックもありますし、もちろん、顧客との会話の中では11月はどんな感じですか?っていうことを話すことがありますが、興味・関心の基本はあくまで10月。だから、会計事務所の業務の基本もバッチ処理なんです。

 ただ、確かに11月半ばの段階での動きを見たって、試算表という「製品」が出来上がらないんですよね。10月の試算表という「製品」を作るのが手一杯。あくまで11月、あるいはそれ以降の動きは、顧客と話をするためのネタだったり、決算予測をするための参考資料だったりしますが、一義的には「試算表」を作るのには要らない情報です。

 そういう、会計事務所の業務はもちろんなんですが、経理担当者の業務としても、前月の試算表を作成するという業務を目前にすると、当然、今進んでいる11月の流れは置いといて、とにかく10月をまとめよう、というところに力が入ってしまいます。つまり、月単位のバッチ処理を回すことが基本になってきます。

 何となく話が飛んでしまったようになりましたが、つまり、基本的に経理の業務は「月単位のバッチ処理を回す」というのが中心になってきます。支払にしても月1回の支払日。入金確認も毎日するのが理想ですが、最悪、月単位で請求書を締めているなら、次の請求書を出す〆日までの入金をシステムに入れれば、請求書の繰越額には影響しないわけです。これも、他に影響がなければ、月単位のバッチ処理で流れてしまうのです。

 というように、基本が月単位のバッチ処理。これを、日々の動きを記録する業務を除く、あらゆる経理業務に適用することにより、経理業務が合理化する、ということも、極論をいればあてはまってくるという考え方もあると思われます。

 と、先ほど、「バッチ処理バンザイを否定する」と書いておきながら、否定する側の話をさらに持ち上げてしまいました。

 もちろん、基本はそこにあってしかるべきだと思います。これは否定しません。

 ただ、いつも書くように、業界によって、あるいはその会社の考え方によって、すべてをそれで片付けるわけにはいかないよ、ということになります。

 例えば、旅行業の場合、お金を支払うことによって初めて手に入る仕入が多く存在するわけです。航空券なんかそれでして、特に海外航空券の場合、予約を入れる→確定する→請求書をもらう→送金する→送ってもらえる→顧客に渡す・・・、という流れになるわけで、通常の物品販売業のように、注文する→配達してもらう(納品書をもらう)→その商品は売ることができる→月単位で請求書が来る→翌月の支払日に、各仕入先からの請求書をまとめて支払う、なんていう流れとは対照的な流れになるということはお分かり頂けると思います。(ただ、旅行業の仕入すべてが前払とは限らないのですが・・・)

 つまり、旅行業の場合、ある業務については、顧客から依頼を受け、何かを用意しなければならないという事態になった場合、特に依頼から用意するまでの期間が短ければ短いほど、「すぐに振り込む」なんていう事態になるわけで、支払うことが決まってから、支払うまで、数時間もない、なんていう話はザラにあるわけです。そんな、「支払日を決めて、その日しか支払わないようにしましょう」(某経理の合理化を解いた本)なんて悠長なことを言っていられないのです。そんなことをしていたら、永遠に航空券が来ません。というか、予約が取り消されてしまいます。払わなければ売ってもらえません。

 と、つい、自分の業界の話を例に出してしまうのですが、すべての支払をバッチ処理で片付けるわけにもいかないのが実情でして、バッチ処理の典型例と言える企業の支払ですら、リアルタイム処理が見え隠れするわけです。

 他に、入金確認。これも月1回の請求書発行業務と連動させるなら、請求書発行までに、〆日までの入金が請求書システムに入っていれば、その業務は可能なわけです。

 旅行業のように、前月残が表示されない業界の場合は、むしろこっちの方はゆっくりできる、というわけで、場合によってはこれは仕事が溜まらない程度にある程度まとめてやってもいい業務なのかも知れません。事実、特に入金が集中する日を中心に、ある程度まとめてやっています。ただ、営業担当者にすぐに知らせることによって、営業担当者が御礼の電話もできるということもあるので、内容によってはすぐに知らせる、じゃあ、日単位のバッチ処理(月単位で見るとリアルタイム処理)でやった方が早い、ということにもなるんで、時期によっては日単位できっちりやっているときもあり・・・。要は臨機応変でやっている業務、というのが個人的な位置づけです。

 ただこれ、完璧にリアルタイムでやらないとダメな業界もあるわけです。

 先ほど、海外航空券の支払を、必要な都度、やっていると書きましたが、裏を返すと、海外航空券を売っているところ(ホールセラー)は、リアルタイム処理で入金確認をしないと、航空券を送ることができないわけです。そういう会社はリアルタイム処理です。

 もちろん、通販を行っている企業で「入金が確認でき次第発送します」とやっている会社が「入金確認は週(あるいは月)1回まとめてやってますよ」なんて悠長なことは言っていられないわけで、そうなるとリアルタイム処理になります。

 という、支払と入金確認という例で見るように、経理業務の中でも、一般論として一概にこの業務はリアルタイム処理、この業務はバッチ処理が望ましい、なんて論ずることができないわけで、業態と会社の方針によって、これらリアルタイム処理とバッチ処理、あるいはバッチ処理でもどの頻度にするかを個別に検討せざるを得ないということになってきます。これが月1回にできないから問題だ、というわけでなくて、杓子定規に、すべての業務を月1回のバッチ処理にできないというわけです。

 というのが、長々と書きましたけど、それが結論でした。

 余談ですけど、バッチ処理が向いている仕事ってアウトソーシングしやすい業務なんですよね・・・。

 それと、やっぱり「経理業務の一般常識」を崩すには、旅行業の話を出すのが一番手っ取り早いなと思う今日この頃・・・。

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