« 正月 | トップページ | 更新しました(第657版) »

2010年1月 3日 (日)

単純作業の移管

 と、何も変わったことがないので、今日は読者層を無視した、面倒な話を書きます。って言っても、意外と経理関係の文を書くと、検索で御覧になる方が多いんですよね・・・。振込手数料の話なんて、結構、御覧になる方が多いみたいですよね。

 多分、そういう方々は仕事中に見ていると思うんで、他の内容は見られないと思いますが、ちょっとどこかにURLなんか控えておいて、家に帰ったら駅の写真なんか見てみませんか?(笑)

 今日のお題は単純作業を誰がやるの?っていう話。

 以下、くどくどと話が続きますので、興味のない方はこのへんで。なお、明日は更新をします。札幌の路面電車です。「仮置き場」からの移転も多いんで、ちょっと手間がかかるかな・・・。

 さて、話に移ります。あっ、この話の下敷きは12月30日の「年末」という話の請求書を綴っていた云々というところなんで、もしよろしければそちらも御覧ください。重複を避けるために、なるべくその日のエピソードは本文中には盛り込みません。

 経理業務というのは、なんやかんや言っても単純作業がついて回ります。ほんと、見方によっては、なんの生産性もない、後片付けをひたすらやり続ける仕事ではあるんですけど、もちろん、経営には欠かせない業務もやっていたり、あるいはいくら仕事をしてもお金が入ってきて、きっちり払わないことには話にならないわけですから、ある意味、会社としてはないと困る業務なのです。

 つまりですね・・・。
  ・会社に必要欠くべからざる業務(入金管理・支払業務)
  ・法律、あるいは制度上、必要な業務(税務申告など)
  ・経営参謀(かっこいい表現?)としての業務(管理会計・・・って言っても業種によっては制度会計で十分なんですが・・・など)
  ・生産性のない、単純作業(資料整理、帳簿作成)
 そんな要素が入り乱れたものが「経理」というものなのです。

 もちろん、以前に書きましたとおり、経理担当者の置かれた状況や、他者との関わり具合によって、すべての会社の経理担当者がこれらが入り乱れた業務を行っているわけでもなく、置かれた状況によって業務範囲は異なるわけです。

 また、これら4つの要素は独立しているわけでなく、例えば「単純作業」の「帳簿作成」が、そのまま「制度上、要求されているもの」になっていますし、ちまちまと単純作業のように入力したものが、経営上、必要な資料に化けていくわけです。

 つまり、「単純作業」と言っても馬鹿にできないわけで、そこがしっかりしていると、法令が要求する帳簿ができ、申告もでき、経営上役立つ資料もできて、入出金もしっかりと管理できるということになります。

 と、何となく当たり前のことを書きましたけど、今日書きたいのが「単純作業をどうするか」っていうことです。

 経理担当者になるぐらいの人だと、意外とこの「単純作業」っていうものが苦にならないというか、多分、人の嫌がるそんな仕事を苦にせずできる根性が据わっている人が多いようで、何かの本に書いてありましたが「前世でよっぽど悪いことをした人が、その罰として現世でこんな事をしているのかも知れない」という考えもあるわけです。

 つまり、単純作業の繰り返しに慣れてしまって、それがすべての世界になってしまいがちです。その単純作業がやがて楽になり、そこから離れることが、苫米地英人さん著『テレビは見てはいけない』という中にある「コンフォートゾーンから外れる」という状態になってしまい、不快なものになってしまうのです。

 請求書などの資料を綴ったり、領収書をペタペタと貼ったり、補助簿をきれいに作ったり、ということが、快適な仕事になってしまって、事務屋さんとしての経理担当者になってしまうわけです。そりゃそうですもんね、お客さんと基本的には関わらなくてもいいし、地味に綴ったり貼ったり、数字いじくって時間までいれば給料がもらえるし、怒られないし・・・。

 ただ、そうなってしまうと、経営における経理の立場というものが低くなってきて、「とりあえず、必要だからおいとくけど、生産性がない割に給料だけ持って行くな・・・」という評価になってくる訳です。

 だから、単純作業は派遣とかパートに任せて、経理担当者はせっかく簿記の知識があるのだからそれを生かして、経営に役立つ立場になりましょう、という話になってくるわけです。

 ここまでの話の流れ、何年か前に読んだ本で、頭の中に残っていることを、ちょっとだけ角度を変えて書いてあります。ちょっとだけ趣旨が変わっていると思うのですが、大枠はそんな感じです。

 さて。ここで書きたいのは、「その通り。経理は単純作業をやってはいけない。もっと生産的な立場になるべきだ。」ということでなく、「いや、非生産的なこともやらないとダメだよ」ということなんです。

 今の会社では経理担当者が一人しかいないんで、別に仕事の割り振りについてはとやかくいわれることなく、一般的に言うところのレベルの高い仕事から、レベルの低い仕事まで、ただし一部はちょっと手伝ってもらうこともあるんですけど、基本的に一人でやっていますが、前の会社だと、次々と新人が入ってくる会社だったんで「こんな仕事、○○君に任せて、別のことやりなさい」ということをよく言われたものです。

 つまり、一般的には、一つの塊の仕事があって、その中にはレベルの高い仕事と低い仕事があり、能力のある人はレベルの高い仕事だけをやって、新人とかパート・派遣の人はレベルの低い仕事をやるべきだ、という定説があるようです。

 もちろん、ここで言うレベルの高い人って、往々にして単純作業をやらせても早いわけで、そうなってくると人に任せるぐらいなら自分でやった方が早い、ということになるわけですが、「いやいやそうじゃないよ」というのが経済学で言う「比較優位の原則」っていうやつなんですが、これはまあ、経済学部を出たならそれぐらい知っておいた方がいいよ、と言われるものの一つなんですけど、これを解説すると長くなるんで省略。

 ここで、なぜ能力のある人が、レベルの低い仕事をやったらダメなのか・・・。

 つまり、経営者から見るとその人の給料にあった仕事をさせたい、あるいはその人しかできない仕事をやってもらいたい、という面。あるいは、人間の性質上、どうしてもレベルの低い仕事で満足してしまうので、レベルの低い仕事を取り上げて、自然とレベルの高い仕事をせざるをえない状況にするという面などがあるわけです。

 果たしてそうなのか?ということなんですが。

 まずは単純作業は、それを作業として分離し、それを全体が分かっていない人に移管した瞬間、その作業はそのままの形で永遠になくならないということ。

 つまり、「新人・パート・派遣」という立場だとどうしても全体が見えないため、その作業がすべての世界になってしまって、決められた手順で、決められたとおりにやることがすべてになってしまうわけです。となると、その作業が永遠に残るのです。

 もちろん、ベテランがやっても、「この仕事はこういうもんだ、文句言わずにやろう」とやってしまうと、同じ現象が起きてしまうのですが・・・。

 これが、「もっと生産性の高い仕事をやらないとダメだ、でもこの仕事は制度上必要だ。けど、どうにかしたい。」という意識でやっていたとします。

 例えば経理で言う請求書を綴る、領収書を貼る、なんていう業務は、やらなくてもいい業務ではなく、制度上は絶対に必要な業務です。なんせ、要らない書類なんですけど、7年間保存しないとダメなんです。ダンボールに適当に放り込むわけにもいかず、何らかの形で、整然と保管せねばなりません。そうしないとひどい目にあうことがあります。というよりも、1年間は意外と見ることがあるかも・・・。

 それで、この単純作業は必要で、やらないとダメだけど、他にやりたいこと・やらなければならないことがあるし、できるだけ短い時間でやりたい、こんな事に時間を取られたくない、という意識でやっていたとします。

 もちろん、いい加減にやるのではなく、法令が認める範囲、あるいはあとで必要なときに取り出せる状態で、なおかつ、短時間でできる方法を考えなければならないのです。そうなってくると「あー、ここまでやらなくてもいいな、もっと簡単にしよう」とか、「請求書は振込が終わって、会計ソフトに支払の仕訳を入れてしまったら、もう綴ってしまうと二度手間じゃなくなる。取引先別になんか綴っていられない」という改善策が出てくるわけで、そうなってくると、その仕事自体が必要最低限の時間でできるように改善されていくわけです。

 そういう意識でできるのは、多分、そこそこのレベル以上の人なんじゃないだろうかと思うわけで、レベルの高い人から単純作業を奪うことは一概によいことでもないというわけです。

 それと、こういう単純作業の中にも「気づき」というものはあるわけで、知らない人が見ると単なる文字と数字の羅列でしかない資料も、実は重要なヒントが多く隠れていることも多く、それを生かすことができるのは、「単純作業だけを任された人」にはできないことなのです。よく分かる人がそれなりの意識で単純作業をすると、そこから思いもしなかったことが得られることがあるということです。

 また、これは直接には「今の業務」に役立たないのですが、どうしても民間企業というものは雇用が定年まで保証されているものではない、ということ。どこでどうなるか分かりません。年とともに「体が動かなくなる」というのは、年のせいもありますが「部下に単純作業をさせていて、自分はしていなかった、部下がいなくなると何をどうしていいか分からない」なんていうことにもなりかねないわけで、そのまま転職して、その転職先で「単純作業ができない使えないヤツ」に成り下がってしまうこともあるわけです。「単純作業で体が動く状態」にしておくことは、もちろん、高給を目指すのとは逆のアプローチになりますが、年を取ってからでも「とりあえず職にありつける」ということを考えるなら悪いこととではないと思います。

 もちろん、レベルの高い仕事をどんどんやっていって、将来、それなりのところへ転職できるようにレベルを高めておくことも大事で、それを優先しつつも、「レベルの高い仕事」をするための土台の部分も、自分でしっかりと作れるノウハウは自分の中に残しておかねばならないと思うわけです。

 そんなわけで、一概に、レベルの低い仕事はどんどん下に「落としていく」ことがいいことではないというわけですが、もちろん、それを抱えておくには業務を改善しようという意識が高くないとダメなわけです。じゃあ、経理担当者が2人なら、どうやって分業するよー、というところにもなるんですけど、すいません、うち、経理担当者一人なんで、考えたことないです。もしかしたらどこかで、他の人にある部分を移管する、なんていうことを考えないとダメな時期が来るかも知れないんですけど、今は考えずに、一人で頑張ることにします。

 とにかく、一概には単純作業を下に落としていくということがいいこととは言えないということで。でも、能力のある人が単純作業だけで終わって、その能力を生かし切れないのも問題なわけで、結局のところ置かれた状況によるんですけど・・・。

|

« 正月 | トップページ | 更新しました(第657版) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 正月 | トップページ | 更新しました(第657版) »