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2010年1月23日 (土)

数字合わせ

 と、今日は時間制限もないんで、面倒な話でも書きましょうか・・・。

 ちなみに、カテゴリーの中に「ビジネス書の真似」というものがありましたが、どうせ経理関係のことしか書かないんで「経理関係」というカテゴリー名に変えました。時間があれば、ずっと前に書いていた経理関係の話も、そのカテゴリー名に変えようと思うのですが、そういや、断片的に日記的に書いている経理の話もあるな・・・。

 できれば、このカテゴリー、生き生きとした話じゃなくて、何となく、机の上で理屈をこねているような話をまとめたいんですよね。となると「経理関係」じゃなくて「経理論」か。ということで、気が向いたらあとでなおします。

 さて、今日はものすごい抽象的な話。「数字を合わせる」っていう話です。

 この、経理的な「数字を合わせる」っていう内容には、例えば現金の残を合わせるとか、広い意味では「これぐらいの利益を出したい」「(税金を払いたくないので)これぐらいの利益に抑えたい」っていうことで、「当期純利益」に至るまでの数字を、合法的に、あるいは組織によっては違法に調整することも含んだりもしますが、どっちかというと、今日の話は貸借科目で、現預金以外のものの数字を合わせる、ということ。

 具体的には受取手形とか売掛金とか。本来の残高って、例えば手形記入帳とか、手形の現物とか、売掛金の集計表から分かっていて、それと会計上の元帳なり試算表なりの残高と合う・合わないの話です。

 こういうことって、会計事務所なり、経理なりをやっているとごく日常的にやっていることなんですが、よくやる話のくせに、正面からこの技術を論じる話ってそんなに聴かないんですよね。例えば経理の本を見ていても「この支払はどの科目にするか」なんていうことは書いているのに、「売掛金が合わない場合はどうすればいいか」なんていうことを見たこともないし、会計事務所の研修で、税法改正が云々、っていうことをやるんですが、「手形を合わせるにはどうすれば効率的か」なんていう話はすることもないんです。当然、簿記検定やら、税理士の試験でもやらない・・・、あー、たまに出るか。誤りを訂正させる問題。でも、「○○は××の誤りであることが判明した」なんていう表現なんで、合わない理由を考えさせる問題じゃないです。

 まあ、これも当然の話で、合わない理由なんて個別具体的すぎるわけです。それぞれの事情がありまして、それを正面から扱うと、会社の数だけのストーリーが出来上がるわけです。

 でも、こうやって数字を合わせるなんて仕事上、日常的にやっていることではあるんで、ちょっと自分なりの考え方というもんをまとめてみたいと思います。

 ということでー。たまにこの方法を使ってみるか・・・。面倒な話にお付き合いしたい方だけ続きをどうぞ。(なお、これは複数記事をまとめて御覧にならない方にはここの区切りは関係ないみたいですが、「続きを読む」が表示されています)

(1)「数字を合わせる」という行為は、一定レベル以上の話だ

 この「売掛金」「受取手形」など、貸借対照表科目の現預金以外の科目を合わせる、という行為を行うのは、中小企業でいうと一定レベルの経理じゃないとあり得ない話です。

 例えば、「売掛金」という科目がありまして、もちろん、一定規模以上の会社だと、日常的に動く科目なんですが、年に1日、2仕訳しか、この科目が動かない会社もあるわけですよね。それが、かなりの数になります。

 それがいわゆる「期中現金主義」という処理方法で、つまり、期中はいつの売上であろうが、全部「売上」で処理してしまうんで、売ったときに「売掛金」を計上して、回収したときにそれを消し込んでいく、なんていうことをせずに、とにかく、期中はお金が入ってきたら「売上」。そして、期末に売掛金の残高を何らかの方法で把握して、前期の売掛金残高を売上に振替え、期末の売掛金残高を改めて計上する、なんていうことをします。

 だから、基本的にそんなことをしていると「売掛金が合わない」なんていうことはあり得ないわけで、合わせる片方が存在しないわけですから、スルーしてしまう話です。

 もちろん、「期中現金主義」って、経理的にはレベルが低い、とみなされがちですが、売掛金がさほど発生せず現金取引が中心だったり、あるいは、掛売上高が、月によってさほど変動しない場合で、大半が規則的に入金される場合は、そんなに影響のない方法でもありまして、十分、この方法でも役に立つ情報は得られます。だから「発生主義じゃないと意味はない」なんていうことはないと思います。

 話が飛びましたが、とにかく、この「数字が合う合わない」というのは、例えば売掛金に関して言うと、期中現金主義じゃなくて発生主義でやっていて、初めて話としてでてくるものなのです。

(2)合わない原因
 さて、例えば受取手形や売掛金を例に取ってみると、「前残高」があり、「当期(当月、以下略)発生分」がある。その反対側には「当期(当月、以下略)減少分」があり、「末残高」がある。その末残高が他で把握したのと合わない、なぜだ?、というのが「数字が合わない」ということの意味です。(図解すればいいんでしょうけど面倒。何となく雰囲気で)

 つまり、前残高と当期発生分のうち、当期減少分がしっかりと処理できていれば、末残高は正しくなるわけで、合わないとすればここで3つの原因が考えられます。
 1.当期発生分を正しく処理しているか
 2.当期減少分を正しく処理しているか
 3.別のところから把握した末残高が正しいか

 この3つさえ正しければ、数字がぴたりと合うはずで、合わないということは偶然の一致がない限り(正負同額の誤りがあるとか、これら3つのうち、2つで同じ誤りをしているなど)、数字が合わなくなるわけです。

(3)規則的な流れと不規則な流れ
 さて、「数字が合わない」となった場合、経験上の話なんですが、2つの原因があると思われます。

 1.規則的な流れをしているのに、どこかで数字を間違えた
 人間なんであり得ます。例えば315を351と入力したとか。ここで「規則的な流れ」と書きましたが、それの意味は次の話を書いてから。

 2.不規則な流れをしている
 例えば売掛金の場合、請求書があり、その請求金額がそのまま入ってくれば問題がありません。もちろん、振込手数料云々っていう話はありますけど、ほとんどが規則的な流れで入ってくるでしょう。

 しかし、世の中そうはいかないもので
  ア 先方のミスで誤った金額が入ってきた
  イ 請求金額にクレームがあり、勝手にその分を引いてきた
  ウ 先方の〆に合わせて、請求金額の一部だけを振り込んできた
  エ 1枚の請求書を複数の相手先で「割り勘」するために、一人分(一社分)だけ入ってきた
  オ 先方が資金不足で、一部だけ入金してきた

 と、本来予定していなかった流れになった場合、途端にこの「数字が合わない」という状況になる確率は高くなります。

 もちろん、正しく処理すれば数字は合ってくるんですが、「規則的な流れ」と比べて「不規則な流れ」はどうしても合わない確率が高くなります。

(4)仕組み作り
 このように、数字が合う・合わないという段階に持って行くまでに、何らかの方法で「合わない」原因を排除する仕組みを作る必要があると思います。ただ、闇雲に、数字を入力していって、また、闇雲に別の方法から残を把握して、付き合わせて、あー、合わない、何でだろう、面倒だけど合わさないとダメだし、やるか、ということで、1日数字合わせに費やす、なんていうことを毎月・毎年やっていても進歩がないわけで、なるべく合うように作業をしていって、合わなくても、だいたいのポイントをいくつかチェックすると、多くの場合、すぐに合わせることができる、という仕組みを考えていく必要があります。

 その際、どの状況の何を合わせるかによって異なるので(この部分は抽象的に書いています)、はっきりとは書けないのですが、合わせる対象双方の作り方を検討する必要があると言えるでしょう。

(5)規則的な流れの処理
 このように、「数字を合わせる科目」については、規則的な流れと不規則な流れが存在することを書きましたが、とにかく「数字が合わない」という時、規則的な流れをしている方はさほど悪影響を及ぼしていないと思われます。

 しかし、いくら規則的な流れをしているといっても、「これは規則的なグループだから、合っているんでチェックしない」というわけでなく、規則的な流れをしているもの・不規則なもの、両方を的確に処理し、合わないときは両方を見る必要があるのです。

 だから、比率は何とも言えないのですが、例えば、8:2の原則だと、8割が規則的な流れ、あるいは統計学の考え方を流用すると95%が規則的な流れ、ということになるんでしょうけど、もちろん、「どの会社の何について」ということで大きくその比率は変わってきますが、とにかく、一般的には規則的な流れをする方が圧倒的に多いわけです。

 ですから、数字を合わせるとき、あるいは残を把握するための処理をするとき、さらには通常の業務においてこの「規則的な流れ」をするものについて、いかに時間をかけずに正確に処理をするか、そういう仕組みをどうやって作るか?、ということが第一歩だと思います。

 当然、この部分って機械化しやすい部分でもありますし、手作業でも全体の作業に占める時間は少なくなるわけです。とにかく、この部分は量に圧倒されることなく、いかに機械的に、素速く正確にやるか、ということです。

 これが、慣れないと結構必要以上に時間を掛けてしまうわけで、会計事務所なんかでも、要領の悪い人って、こういう問題のない部分にものすごい時間を掛けてしまうわけです。そして、次の「不規則な流れの部分」に手をつけることなく、滅茶苦茶なものを作っている人もいるわけです。

 逆に、経理を簡素化しましょう、という内容の本だと、この「規則的な流れ」の部分だけをクローズアップして、「ほとんどが規則的な流れだから、形が決まっている、だから、経理の仕事は誰でもできるんだー」ということが書かれています。

 確かに、この「規則的な部分」って、アウトソーシングしやすい部分でもありますし、経験の浅い方でもできる部分でもありますし、他の人に任せることもできる部分でもあります。ただし、それだけじゃないよ、ということは書いておきたいと思います。

 とにかく、まずは問題のないものは素速く、正確にこなす仕組みが必要です。

(6)不規則な流れの処理 

 こうやって、まずは圧倒的な量の「規則的な流れ」のものを素速くこなして、時間を捻出します。その上で「不規則なもの」をどうやって処理するか?ということになります。

 と書いていますが、「不規則なものってなーに?」となると、ほんと個別具体的になるんですよね。さっき、請求書の例でも書きましたが、受取手形だと、手形がジャンプしたり、決済されると思っていたら、先付け小切手が送られてきたり・・・。(って、うちの会社は手形を扱わないんで、このへんは生々しく表現できない。)

 とにかく、まずは規則的なものに神経を使わない仕組みを作って、リソースを「不規則な流れのもの」に集中させます。「規則的なもの」にリソースを取られていると、「不規則なもの」に神経を持って行くことができず、まあいいや、あといくつか合わないのがあるけど、沢山チェックしたし(その部分が「規則的なもの」)、あとは頑張っても効果なさそうだし、面倒だ-、えい、売上で(あるいは役員借入金で)合わせてしまえー。(つまり、強引に仕訳1本でつじつまを合わせること)ということになってしまうのです。

 つまり、規則的なものが合っているということを確かめるのに手一杯で、それで満足してしまい、不規則なものには手をつけずに強引に合わせてしまう・・・。という、非常にレベルの低い仕事になってしまうのです。でも、後々、問題が発生するとすれば「不規則なもの」から発生するわけで、そこで大問題になるわけです。

 だから、まずは「不規則なもの」に時間を取ることができるようにするということ。

 そうすると、なぜこれが不規則なのか見えてくるわけです。

 そうなってくると、次に不規則なものを正しく処理する手順を考えるということ。つまり「不規則なもの」って、処理が面倒なんです。だから、処理が不完全になってしまって「合わなくなる」のです。

 そこで、「こういうものが出てきたら、こういう処理をする」という手順を作ってしまうと、次に同じような「不規則なもの」が出てきても、決まった手順で体が動くようになり、これがもとで数字が合わなくなる確率が減ってくるのです。

 じゃあ具体的にどうやって?ってなると、ほんと個別具体的ですからね。例を出しても長くなるんで割愛しますが、とにかく、「不規則なものが出てきてもめんどくさくならない仕組み」を考えましょうということです。「めんどくさくない」ということがポイントだと思います。

(7)規則的と不規則的
 ここで、「規則的なもの」「不規則的なもの」と書いていますが、これを明確に分ける基準はありません。関わる人の意識やレベルによって、その境界線は大きく変わってくるでしょうし、アプローチの仕方によっては、規則的~不規則的の並び順が大きく変わってきます。

 また、「不規則的なものをめんどくさくなくする手順」を作ったら、それが「規則的なグループ」に入ることもあります。

(8)分けるVSまとめる
 このように、規則的なものと不規則的なものでアプローチを変えるという話をしましたが、話が流れているところでちょっとぶった切りますが、「数字を合わせる」という話なので、その件で、ちょっと別の角度から。

 例えば「売掛金」があって、究極的にはその「売掛金」の数字を合わせる必要があるとします。これ、一つの数字だけを合わせればいいのですが、これをいくつかのグループに分けてそれぞれを合わせるべきか、トータルで一つの数字だけを合わせるべきか。

 って、抽象的な話になるんで、具体的には個別で考えようね、という結論なんですけど、一般的にはまとめて一つの方がいいということになりそうですが・・・。

 とりあえず、具体的に書くと、「売掛金」という科目があって、それを全社で一つの数字としてしまうのが基本なんですが、これを店舗別・商品別に細分化するかどうかという意味です。

 個人的には、というか前職から今の職まで一貫して10年ぐらい、毎月合わせている数字があるんですけど、これ、分けてしまうことによってすごくやりやすいわけです。

 昔は4つに分けていて、最近は9つに分けているかな・・・。それが倍になるんで18個合わせる数字があるんですけど(まとめると2個になる)、私個人的には「数字を合わせなさいとなる」と、なるべく細分化して、それぞれの数字を合わせる癖があります。

 メリットとしては「合わない」時に、原因を絞ることができること。例えば一つのものを9個に分けていて、合わない原因が一つだけだった場合、「捜索」する範囲がまとめた場合の9分の1になります。デメリットとしては、分けているんで、分ける段階で「入れ子」になってしまって、例えば9つのうち3つ合わないのがあるけど、うち2つは入れ子だった、ということがあるということです。

 ということで、規模や抱えている問題によって分けるかまとめるかということになりますが、一概に決めつけない方がいいという話でした。余談終わり。

(8)まとめ
 これは、単に数字を合わせる、という場面だけにとどまらないと思えてきたのですが、とにかく「規則的なもの」と「不規則的なもの」それぞれを別に考えて、それぞれにあった処理手順を考える必要があるといえるでしょう。

 「○○は基本的に××なんだから、簡単だろ」という話がよくありますが、ここで「基本的に」と言っている段階で、「基本的じゃないものがある」ということ、その「基本的じゃないもの」から問題が発生しているのに「基本的にこうだから問題はないはず」ということで片付けられてしまっていて、問題の本質が見えてこない、ということがいろいろなところにあるような気がするのです。

 そのため、まずは「基本的なもの」に手を取られないようにしてそこは素速く行って、その上で「基本的じゃないもの」をじっくり見て、それに対応していく必要があるわけです。

 「例外を気にするな」というのは、「例外じゃないもの」に手を取られないようにするまでの話であって、その先、例外じゃないものに手を取られないようになってから、じっくりと例外に付き合って行かねばならない段階があると思うのです。

 だから「不規則なもの」「基本的じゃないもの」「例外」って、無視する存在じゃなくて、これらにいかに神経を使っていくかということが大事なのだと思います。個人的には「例外は気にしない」という言葉は嫌いで、「例外にこそ真実がある」と思っているんですけど、(生き方自体が世の中から見ると「例外」の人間なんで)、例外に力を入れる体制を作ることが必要です。

 ・・って「数字を合わせる」話、どこへ行ったんでしょ。

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