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2010年4月17日 (土)

止まらない時間

 と、たまにも前みたいに経理のことで文章を書こうかな、と思いまして。ちょっと前に「今は書かないけど、こんな事を考えています」みたいなことを書いたと思うんですけど、そこにはなかった話。

 ただ、3月決算の仕事をしている今、ものすごいタイムリーな話だったりしまして、これも普段から思っていたことなんで、あえて書いてみようかなと思ったわけです。

 今日の内容は時間の話。経理としての時間軸の話です。特に、「決算の日」から2ヶ月間って、旧年度と新年度が並行する、なんとも言えない時期を世の経理担当者は過ごしているわけで、ちょっと、そういうことを書いてみようかなと思います。

 そんなわけで、今日はこのやり方で。複数記事を同時に御覧頂く表示方法の方は、この続きを読むかどうかの選択になりますが、興味があればどうぞ、ということで。

●新旧年度併存期間
 会計事務所というところにいると、実はほとんど意識しないわけですが、3月31日の次は4月1日なのです。当たり前の話ですが、決算が3月31日だとすれば(あー、法人の場合はどの月でも、あるいはどの日でも決算日にできるんで、世の会社全部が3月31日が決算日というわけでないですが、まあ、便宜上の話。以下、3月末決算を前提に話をします)、翌日4月1日から次の事業年度になるわけです。

 単に一直線に流れている時間軸を、人為的に線を引いているだけで、その間には全くなんの隙間もないわけです。普段どおり日が暮れて、営業時間が終わり(その前後関係はおいといて)、日付が変わって日が明けて、営業時間が始まるだけの話。業種によっては営業している間に事業年度が変わってしまうわけで、その事業年度と次の事業年度の間にはなんの隙間もないのです。

 と、当たり前のことを書きましたが、これが実は会計を傍から見ている者(会計事務所やあるいは監査法人もそうなるかな)と、中から見ている者とでは全く意識が違うところなのです。

 つまり、外部から会計を見ている者は、決算が終わるまで、別に新年度の処理なんてしなくてもいいのです。というか、普通はしません。3月31日が終わって、4月になって、3月分の会計処理をしましょう、と訪問してきて、それからしばらくして、じゃあ決算をしましょうね、ということで、いろんな数字を拾っていって、さて、決算ができましたよ、決算報告会をしましょうね・・・、で、それが終わってからようやく4月分の会計をやりましょうー。なんていうことになるのです。

 しかし、内部の人間にとって見ると、3月31日の次は4月1日。早速次の事業年度の入金があり、支払があり、売上もあり仕入もあり・・・。つまり、決算どころか3月の会計処理すら終わっていないのに、次の事業年度の動きが始まってしまうので、それを記録せねばならないことになります。

 申告期限まで、通常2ヶ月。(期限の延長をしている場合は別ね。)となると、5月末までは前の事業年度の決算をやりつつ、新しい事業年度の処理をしていかねばならない、という2つの事業年度を行ったり来たりする期間があるわけです。

 事業年度が終わって、次の事業年度が始まるまでの間、「時間よ止まれ」と言って時間が止まるわけではない。淡々と時間が流れているだけである、という当たり前の話なのですが、その事実を身を以て気づいたのは、結局のところ、会計事務所から今の会社に転職してからなのでした。

 余談ですが、会計事務所ではやっぱりその当たり前のことに気づかない人も多いわけで「1ヶ月目の月次処理は、普段より1ヶ月遅れるのが当たり前だ」と言っていた人もいるし、自社PCで会計を入力している顧問先に「決算が終わるまで、次の事業年度の会計は、入力しないで下さい」と言っていた人もいるぐらいです。(あー、ワシは「システム上、ちゃんとあとでうまくいくんで、どんどん入れて下さい」と言っていたし、「決算報告会」と言いながら、結局のところ「だいぶ前に終わった話ですもんね」と言って、新事業年度1ヶ月目の話の方を進めていったぐらいの人間ではあるんですが・・・。→ただし、決算を固める前にはじっくりと話はしていたわけで、改めて終わってからの話は詳しくやらなかった。)

 とにかく、3月決算なら4月、そして5月の初めぐらいまでは(場合によっては5月いっぱいは)、事業年度をまたいで、あっち行ったり、こっちいったりしなければならないのが「社内の経理担当者」の宿命なのです。

 ちなみに、これでも時間の位置としては、経理担当者は遅い訳で、会社の中を見ていると、営業担当者や手配担当者(って、業種によって違う言い方)は、4月に3月のことを見ている人はいないわけで、4月には5月6月、場合によっては来年の話をしているぐらいなんで、そういう意味では経理担当者って、他の人とは違う時間の中にいるんだなと思うわけです。

 基本的に経理担当者は後ろを見ている仕事で、もちろん、将来の業績とか、資金繰りを考える上では未来を見ないとダメなのですが、未来のことを「会計処理」できるわけないので、自ずと未来を見るのはあくまで「概算」の話。きっちり見るのは過去という時間です。

 余談ですが、その過去・未来すべての時間に関わらなければならないのが経営者という人なのだなと思うのです。企業の「攻め」「守り」、どっちかをやるのが普通の社員とすれば、両方に目がないとダメなのが経営者、というのと同じ感覚です。

●決算をやりながら、今を見る
 つまり、過去を処理しながら、今も処理する、というのが経理担当者。ただこれ、毎月やっている話でありまして、決算だからどうこう、というわけでもないのですが。

 ただ、「決算が忙しいのは3月」とか「年度末は忙しい」というのとは違って、事業年度が終わったところからようやく「決算の処理」ができるわけで、本格的に忙しいのが4月から5月の初め。(遅れていたら5月中全部。)

 そうして決算をやりつつ、どこかの段階で「今日の入金」を入力したり、つまり新年度も処理していかねばならない、ということになるのです。

 となると、昔習った簿記の「帳簿を閉鎖」するとか「開始残高」とか、そんな話ってどこにあるんだろう?と思うわけです。

 今うちの会社が使っている会計ソフトの場合、新旧事業年度って特に区切りがあるわけじゃなく、3月を入力した→4月を入力する→また3月を入力する、なんていうことも、普段と同じようにできてしまうわけですが(これが自分で会計事務所時代に売っていたソフトのくせに、気づいていなかったこのソフトの特色の一つなんですけど。あと、会計事務所側が決算処理を入力するという場合は、別の操作が必要になるが、それはおいといて)、よくあるソフトだと事業年度が替わると別ファイルになるわけです。

 となると、旧事業年度から繰り越した新事業年度に入力して、旧事業年度を修正すると、それが新事業年度にすぐには反映されない、とは言っても、あとから決算が終わったら、正しい残を再度新事業年度に反映させる処理があるんで、その時点で一件落着、となるわけです。

 でも決算が終わって「帳簿を閉鎖します」→「新事業年度に繰り越します」→「さあ、記帳を開始しましょう」、っていう話を当たり前のように見ていたんですけど、新旧事業年度の間になんの隙間もない、という事実を考えると、この話って、純粋な簿記という学問上の話だよな、と思ってしまうわけです。

 もちろん、手書きの時代でも、「帳簿を閉鎖します」の前に、新事業年度の記帳を行っていたとは思うんですけど、改めて、手書きで元帳なんて作ったことがないんで、手書き時代の想像できない部分の一つでもあります。

 とにかく、3月31日に決算が出来上がる訳じゃないんで、本当に決算をやるのは次の事業年度になってからの話ですし、その時には新しことも始まっている、ということになるのです。

●時間が止まらない

 こうやって時間が止まらずに、新旧並行する・・・。これね、意識しないと頭の中が混乱してくるわけです。机の上にも、どっちの事業年度か分からない書類がごった返すし・・・。

 もちろん、請求書1枚取ってみても「これは新年度のか、旧年度のか」と言われても、3月のものを4月に払うし、旅行業だと4月5月、場合によっては6月7月のを3月にも払うし、「新年度と旧年度」何をもってそういうか分からないんですけど、とにかく、時間が止まらないんで、線からこっちの話のなのか向こうの話なのか(新年度のか、旧年度のか)訳が分からなくなるわけです。

 多分、これが会計事務所から、普通の会社の経理になった場合の、カルチャーショックの一つではないかと思います。もちろん、それ以外にも、もっとあるわけで、これが最大というわけでもなく、むしろマイナーな部類なのですが、突き詰めて考えると確かに会計事務所ではなかった混乱だよな、と思うのです。

 それで、この前もちらっと書いたのですが、むしろ新年度になってからの処理を積極的に早めにやっていった方が、旧年度がきれいになる、という事実に気づいたわけで。

 具体例を挙げるときりがないんですけど、「とにかく決算を終わらせよう、それまでは新事業年度のことは必要最低限しかしない」というのではなく、新事業年度になったら、流れに身を任せる、ということです。

 ただ、モノによっては、新年度の処理になだれ込むと分からなくなるんで、旧年度をきっちり片付けてから、新年度へ移行する必要もあるわけです。例えば(うちの会社にないモノを例に出すと)、3月末の手形残をきっちりと把握せずに、4月に落ちた手形を消し込んでいくのも考え物ではあるんですが。でも、それでも逆に4月のをどんどん消し込んでいって、「ありゃ、これ変だぞ」と4月の中旬ぐらいに気づいて、それを3月に遡ってなおす、というのも効率的かも知れません。

 「前のことを終わらせないと次へ進めない」じゃなくて、「次に進んでおかしなところがあれば戻ればいいんだ」という発想を採り入れた方が効率的だと思うし、逆におかしなところを見つけやすいし、問題ないところはいちいちチェックしなくても、新年度できれいに流れていけば問題のなかったところだし。

 そういうことで、具体的にこれがどうこう、という書き方はしないのですが、前のことに固執して、次のことを遅らせるよりも、次のことに手をつけていった方がスムーズなこともあるよ、ということに最近、改めて気づいたんで、一つの発想として文章化しておきました。

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